ひとつはパティックやロレックスのように独立で運営しているメーカーともうひとつはIWCやジャガー・ルクルト、その他多数のメーカーがグループとして傘下となり運営する方法です。
スイス時計界では大きく4つのグループがあります(小さいグループは何社かありますがここでは省かせて頂きます)。
それがスウォッチグループ(SMH:スイス時計マイクロエレクトロニック総連合)、リシュモングループ(旧ヴァンドームグループ)、LVMHグループ(モエヘネシー・ルイヴィトン)そしてWPHHグループ(World Presentation of Haute Horlogerie)です。それぞれが多数のメーカーの集合体と考えてもらっていいです。
ちょっとそれますが、時計を買うときに正規、並行を考えますが、それ以上にグループも把握しておいた方がいいと思います。
なぜかというとサービスの差があるからです。
スウォッチグループなどは正規、並行共にそこまでのサービスの差はないですが、リシュモングループやLVMHは並行の時計に対しては融通が聞かず、オーバーホールも中には受け付けないメーカーなどもあるので注意してください。
例えば前回お話したゼニスなどのオーバーホールは並行で100%で正規で確か40%オフだったと思います。イニシャルコストは並行が上でもランニングコストを考えると正規の方が後々得になることになりますね。
さてそのグループの中でも、最も大きいグループ「スウォッチグループ」に焦点を当ててみましょう。スウォッチ・グループは先程一番大きいと言いましたが、全体の売上は約3000億円に上り、参加の企業・工場は150以上です。
傘下に入っているブランドにはブレゲを筆頭に数多くいます。
さて、「スウォッチ」と呼ばれているからはスウォッチが元に買収なりをしてきたかというと、そうじゃないのですね。
時計界はどちらかと言うと買収というより仲間になると言った感じと考えてください。
これはあの1929年の世界恐慌時の不況を乗り越えるために各メーカーが結成したものと考えて下さい。
話戻りますね。スウォッチ・グループは実は「スウォッチ」より遥かに古いのです。
1926年にムーヴメントメーカー3社(ETA、フォンテンメロン、ア・シールド)がエボーシュSAという共同体を作りました。
これがスウォッチグループの前身です。
さてちょっとエボーシュSA(スウォッチ・グループの前身)は置いておいて、
後の傘下となる2つのグループを先にお話します。(行ったり来たりでややこしいですね…)
ちょうどその頃、1930年にオメガを中心にスイス銀行協会が参加して結成されたSSIHと1931年にロンジンを中心にスイス銀行連盟が参加して結成され発足のASUAGがお互い競い合いながら世界の時計産業をリードしていってました。
そして1967年、あの事件が起こるのです。
そうSEIKOのクウォーツ時計の発表、通称クォーツ・ショックです。
その後15年ほどで時計関連企業は約3分の1、生産本数は半分以下まで激減してしまうのです。
このような逆境の中、生き残りをかけてスイスの時計産業が取ったのがSSIHとASUAGの合併なのです。
スイスの時計産業は生き残るためにはお互いが刺激しあっていた仲であったにも関わらず仕方ないことだったのですね…。
ここでもう一つのグループ、エボーシュSAが出てくるのですが、その時ETA社にて今尚人気の時計が立ち上がったのです。
1983年に発売を開始した、そう、スウォッチなのです。
実はスウォッチはもともとグループの1企業(ETA)のブランドの一つにしか過ぎなかったのだ。
しかし、これが苦境にあえぐスイス時計業界を救うことになるのです。
現在までに累計3億本もの生産本数を成し遂げたスウォッチのブームが、関連企業にどれだけの仕事と雇用を与えたか想像に難くない。
エボーシュSAもここで大きな変革を迎えます。
1985年にスウォッチがETAより独立し、エボーシュSA自体はETAに統合され、翌1986年にはついにSSIH、ASUAG、ETA、スウォッチなどが合併し、SMHというグループを構成することになるのです。そして1998年、このSMHが名称を変更してスウォッチ・グループとその名を変えました。
このように、スウォッチグループに関してはどこか1つの企業が買収を繰り返してできたというものではなく、むしろ協同組合的、同盟関係的団体なのです。
これが時計の歴史を語る上で決してはずすことの出来ない団体「スウォッチ・グループ」です。
いまでもトップに君臨するグループにはオメガ、ブレゲ、ブランパン、ロンジン、ティソ、グラスヒュッテオリジナルなど名だたるメーカーが傘下に入っています。
クォーツ・ショックを乗り越え機械式時計が日の目を浴び、景気良くなっている現在、当時のバタバタは笑い話になっているんでしょうかね。
ブレゲ:オメガ君、君クォーツショックの時、日本の企業に売却を持ちかけたそうだね。
オメガ:そうなんだよ、ハハハ。危うく日本の会社になっていたかもね。名前も「オメガ」ではなく「無限」ってなってたりして。
ブレゲ:……、いや〜当時は本当に危なかった。
そんな会話が聞こえてきそうです…。
(上のオメガの日本企業への売却話は本当です)
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